売買契約後、引き渡しまでに災害が起これば

2024年06月16日

不動産売買契約後から引き渡しまでの間に災害が起きたらどうなるの?

 

こんにちは!株式会社としぶん ガマホームです♪

不動産売買において、取引成立から物件を引き渡すまでに少しの期間があります。

その間に、地震などが起きて物件が倒壊したら取引は継続するのでしょうか。

今回は、万が一の事態にそなえて、契約書に加えておきたい「危険負担」の詳細について解説します。

 

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取引成立後に災害で不動産物件が失われたら

 

予期できないトラブルが起きる前に

 

不動産売買が成立しても、すぐに売主が買主に物件を引き渡すとは限りません。

売主がローンを完済したり、買主の準備が整ったりするまで時間を置き、引き渡すのが一般的です。
ところが、この間に何らかのトラブルで不動産物件が損なわれてしまう可能性もあります。

しかも、売主と買主のどちらにも責任がない、「災害」としか言いようのない状態だった場合、修繕の責任をどちらが持つかでもめがちです。

 

たとえば、地震による陥没・何者かによる放火・台風や津波の被害などは、「双方に責任がない」と言い切れるでしょう。

しかし、あくまで民法の取り決めにしたがえば、引渡しまでに起こったトラブルは「債権者主義」が適用されます。

そして、不動産売買における債権者とは買主に相当します。

「契約上、物件の持主は買主とされている。

そのため、物件に起こった災害の責任は買主が負担しなくてはいけない」と決められてしまうのです。

 

ただし、こうした民法の内容を理不尽と捉える買主もいるでしょう。

「そのような条件で不動産を購入するのは怖い」と考える買主が増えれば、売主にとってもメリットがありません。

そこで、不動産売買では民法と別に契約書で災害時の負担について約束を交わしておきます。

双方が納得できる条項を盛り込んでおくと、不動産売買における不安は少なくなるでしょう。

 

危険負担にはどんな意味がある?

 

別のルールを作って穏便な対応へ

不動産売買において、「売主にも買主にも責任がない状況下で、引き渡し前の損害を誰が負担するか」を取り決めるのが「危険負担」です。

不動産売買は自由契約が認められているので、売主と買主の合意があれば民法とは別のルールを作り出すことも可能です。

危険負担を盛り込む意味は、まず「トラブルの回避」です。

契約書に、危険負担についての項目がないと原則的に「債権者主義」が採用されてしまいます。

しかし、もちろん買主からすればまだ入居もしていない物件の損害を負担したいとは考えません。

そのため、なんとか負担を逃れようと契約を解除しようとしたり、責任を売主に押しつけようとしたりしてトラブルへと発展しがちです。

契約書でしっかりと危険負担を明文化することで、いざという事態もスムーズに収束できます。

「買主を安心させて契約をまとまりやすくする」のも大きな意味でしょう。

危険負担とはいわば、「債権者主義」を一部「債務者主義」へと変更する行為です。

売主が引き渡し前の損害を引き受けてくれるとわかったなら、買主は安心して契約を結べます。

あらかじめ、物件を市場に出した段階で危険負担についての詳細が決まっていると、なお買主は集まりやすくなるでしょう。

逆に、危険負担についての項目がない契約は買主に拒否される恐れがあるので、買主から申し入れられる前に付け加えておくのがおすすめです。

危険負担を取り決める際の注意点

 

危険負担の取り決めについては、通常、「引き渡し前の損害は売主が引き受ける。

ただし、引き渡し後の損害については買主が引き受ける」とします。

ただし、危険負担には抜け道や拡大解釈の余地があるため、より細かく注釈を加えておくと売主が過剰な負担を引き受ける事態を避けられます。

まず、「損害を理由に買主が契約を解除しようとする」ケースの防止です。

火事などで物件が損なわれた場合、修繕までに時間がかかったり、買主の理想から遠のいてしまったりする可能性があります。
そんなとき、買主は手付金返却を放棄してでも別の物件を探そうとするかもしれません。

しかし、いくら手付金が手に入ったとしても、修繕まで行って物件が売れないなら売主の大損になってしまいます。

「修繕可能な損害であれば買主は契約解除できない」との合意を取り付けましょう。

 

また、実際に危険負担を引き受けることになったときのことも考えておくのが大切です。

危険負担に該当するような災害は滅多に起こりませんが、それゆえ対策がおろそかになり、売主は思いがけない支出を強いられます。災害保険などに加入して、万が一の事態にそなえておきましょう。

ただし、保険が適用されるのはあくまで「売主の責任がおよばない災害」に遭ったときだけであり、売主の過失については対象外となります。

 

危険負担の適応外となるシチュエーション

不動産売買成立後、引渡し前に物件が損害を受けても危険負担が適用されない場合があります。

まず、明らかに「売主と買主のいずれかに過失がある状況」です。

 

たとえば、買主が引き渡し前に物件の様子を見にきたとします。

そのとき、タバコの不始末が原因で火事を起こしたなら、明らかに買主の責任があります。

危険負担の取り決めに関係なく、買主が修繕費を負担しなくてはいけません。

次に、「危険負担は売主と買主で分割する」と決めていたとしても、売主の一方的な過失により物件に損害を与えてしまったら、やはり危険負担の対象外です。

売主だけが修繕費を負担しなくてはいけません。

また、危険負担は、「引渡しを前提として売主か買主のいずれかが損害を補償する責任」についての取り決めです。

つまり、引き渡しそのものが不可能になったら、危険負担は適応されません

 

火事による全焼、地震による物件の全壊、津波による消失などが、この条件にあてはまります。

物件そのものがなくなると、もはや修繕する余地がないので買主は契約を解除し、取引そのものがなかったことになります。売主が全壊した物件を一から立て直す必要もありません。

ただし、損害が物件の一部にしかおよばず、修繕次第で引き渡し可能だと判断されれば危険負担は有効です。

 

瑕疵担保責任とはどう違うの?

危険負担と勘違いされやすい不動産売買のルールが「瑕疵担保責任」です。

この2つを混同していると、売主にとって不利な条件で契約を結んでしまいかねません。

しっかりと違いを把握し、契約書を正しく作成しましょう。

 

危険負担とは

危険負担とは、「契約成立から引き渡しまでの期間」に起こった「売主、買主のどちらの責任でもない災害」についての取り決めです。つまり、引渡しが完了すれば危険負担も失効します。

その後の損害については買主が自己負担しなくてはいけません。

 

瑕疵担保責任とは

一方、瑕疵担保責任は「売主の責任による瑕疵修繕を売主が負担する」ことです。

売主は買主に物件を引渡す際、瑕疵をすべて修繕しておく義務があります。

そのため、明らかな破損はもちろん、汚れ、シミ、ヒビ、建付けなど、広範囲にわたって瑕疵担保責任は適用されます。

瑕疵担保責任は、必ず売主が負わなくてはいけません

そして、引渡し後も瑕疵が発覚すれば買主は売主に修繕を要求できます。

瑕疵担保責任は、「瑕疵発覚から1年」が期限となっています。

ただし、売主と買主の合意次第で期限を変更可能です。

売主の明らかな過失について補償を行わないと「債務不履行」に問われ、強制執行される可能性があるだけでなく法的に罰せられてもおかしくありません。

一度交わした契約内容は必ず守るよう心がけましょう。

 

まとめ

危険負担は忘れずに契約書へ盛り込もう

危険負担は、非常時の対処法を記した契約書の項目です。

そのため、平常時にはつい見落としてしまいがちです。

また、「わざわざ書かなくても災害など起きないだろう」と、楽観的に考える売主もいます。

しかし、日本は地震や台風などの天災が少なくないので完全に安心はできません。

買主の信用を得てトラブルを回避するには、危険負担を契約書に盛り込んでおきましょう。

 

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