地上権とは?
2024年06月25日
地上権とは何か?
こんにちは!株式会社としぶん ガマホームです♪
底地をお持ちの地主さんは「地上権」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
地上権には強い権利がありますが、賃借権との違いはご存じない方もいらっしゃるでしょう。
今回は、地主さん・借地人さんと地上権がどのように関係するのか、どんな場合に地上権が設定されるのかについてご解説します。
借地権には地上権と賃借権がある
地上権は、借地・底地など、土地の貸し借りに関連する権利です。
地上権の話を始める前に、まずは借地権についてご説明します。
借地権とは
借地権は、地主さんの土地を借りて建物を建てた際に借地人さんが持つ権利です。
借地人さんはその対価として地代を支払います。
「お金を払って不動産を借りる」ことには変わりないのですが、「マンションの一室を家賃を払って借りる」のとはちょっと違います。
土地を借りたときの借地権には強い権利があるのです。
特に1992年8月より前の借地には旧法が適用されるため、借地人に非常に有利であり、地主さんとトラブルになることもあります。この場合の借地権に認められているのは賃借権であり、地上権ではありません。
地上権は物権、賃借権は債権 その違いは?
では、地上権と賃借権の違いをご説明します。
借地権はその契約内容によって、地上権もしくは賃借権が適用されます。賃借権は債権、地上権は物権です。
債権
債権は特定の人が他の特定の人に、特定の行為をすることを請求する権利です。
ここでのポイントは「特定の人に」という部分です。
権利の主張ができるのはその契約を交わした特定の人へのみなのです。
債権である賃借権は、借地人が地主に、借地人の建物を建てて住まうことを請求する権利ということになります。
物権
物権は物を直接的かつ排他的に支配する権利です。
民法265条には地上権について、“地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。”とあります。
物権である地上権は、借地権でありながら土地を直接的に支配できます。
そのため、地主の許可なく、譲渡・売却・転貸できるのです。
通常の借地・底地関係の場合は、権利の強い地上権ではなく、賃借権が付与されている理由がお分かりいただけるのではないでしょうか。
賃借権は登記できないが、地上権は登記できる
地上権には登記義務があります。そこが賃借権との一番の違いです。
登記をすることで第三者に権利を主張できるのです。
借地人が地主に地上権の設定を求められるの?
厳密に言うと賃借権も登記できるのですが、地上権のように必ず登記しなければならないわけではなく、借地人が地主に請求する権利もありません。もちろん賃借契約を結んだ際に双方の合意が取れている場合は登記します。
地上権の登記、地主さんのメリットは?
地上権を登記すると、借地人が借地権を地主の許可なしに譲渡・売却・転貸できるようになります。
これは借地人にとって大きなメリットです。
借地人としては、ぜひ設定してもらいたいところですが、現実はそうではないようです。どうしてなのでしょうか?
地上権があると、地主の承諾なしに譲渡・売却・転貸できてしまう
それは、地主さんにはメリットがないからです。
通常の借地・底地関係で認められているのは、賃借権で、地上権ではありません。
地上権ほどではないものの、賃借権も借地人の権利が強く保証されています。
特に旧法適用の借地であればなおさらです。きちんと地代を支払っていれば、借地権は存続し、「借地上の建物が朽ちている」「地代を滞納した」などと、よほどのことがない限りは、ずっと借り続けられます。
しかし、いくら「権利が強い」とはいえ、賃借権の契約では、底地を持つ地主さんの許可なく、借地権を譲渡・売却はおろか、第三者に貸すこともできません(相続は除く)。
相続税評価額では、底地より借地の方が借地権割合が高いこともありますが、実際には制約が多く、地主の許可を得られても、借地権単体では相続税評価額に相当する価格で売却はできません。
また、地主さんと借地人さんとの契約にもよりますが、通常は数十年ごとの更新料、建物を建て替えるときの承諾料がいります。
そして譲渡や売却、建て替え時の地主さんの承諾は必須です。
借地の地上権登記をすると、地主さんが土地を支配できなくなるので、認めることはほとんどないのです。
では、どんな時に地上権が登記されるのでしょうか?
地上権が登記されるのはどんなとき?
ほとんどないとはいえ、借地人と地主の間で、合意がなされれば、地上権が設定できます。地上権があると、その土地上の空間と地下を地主の許可なく、自由に使えるようになります。
賃借権は債権なので、必ず金銭のやり取りが発生しますが、地上権は無償で設定しても構いません。
ただし、通常の借地・底地関係でしたら、地上権は設定されないことが多く、借地人さんから申し出があっても、よっぽどの事情がなければ地主さんも応じることはないでしょう。
応じたとしても、それなりの金額を要求するはずです。
地上権が設定されるとしたら、これからお話しする区分地上権・法定地上権の2種類です。
区分地上権とは?
地下鉄や高架道路・地下トンネル・送電線建設などの公共事業で、地上・地下を使用する場合に設定されるのが区分地上権です。名前は「地上権」ですが、地下の利用も含まれます。
地上権がその土地が存在する地上と地下空間すべてに渡って効力があるのに対して、区分地上権は地上や地下など範囲を一部に限定して認められる権利です。
区分地上権が設定されても、借地・底地関係は維持できる
すでに借地として利用している土地の地下に、地下トンネルが通ることになったらどうなるのでしょうか?
その場合は、借地・底地関係は維持したまま、区分地上権が設定されます。事業者は借地人と地主の両者と契約を結ぶことになります。金銭を受け取ることになったら、その所有割合などにより、分配します。
区分地上権がある土地は、利用制限される
基本的に、地下が利用されている範囲のみに区分地上権が設定されます。以下のように敷地の一部のみが利用されているときは、その部分の土地を分筆し(土地を複数に分けること)契約を交わします。
土地を分筆して建物が2つの土地にまたがって建つことになっても問題はありません。
区分地上権のある土地は、その地下にある工作物によって、重さ制限や地下利用制限が課される場合があります。大規模なマンションが建てられる土地であったのに、区分地上権の契約により、難しくなるかもしれません。契約時によく確認しましょう。
このように、底地・借地を所有する地主さん、借地人さんの悩み・不安は尽きません。
そんなときは、一人で悩むより、不動産の問題に精通した専門家に相談してみませんか。